VIDEO ここちよい水辺、Waiauこそ(わが)思いを寄せる場所。
山深きところにある、すばらしき湖。
そう、あなたはWākeaに由来する山にあって、
聖なる(空気に)包まれ、その高みにある。
Waiauに声を届けよう。
そこには驚くべき水辺がひろがり、
(ネイティブの)こころで満たされているのです。
He aloha Waiau e ka wai ʻolu ē
Ka wai kamahaʻo lā i ka mauna ē
I ka mauna ʻoe a Wākea ē
Kehakeha lā i luna i ke kapu ē
E ō ē, e Waiau ē
Ka wai kamahaʻo lā, ka wai aloha ē
山深い場所にある水辺の風景が、肌をさす冷たさに満たされたその空間の、凜とした空気感とともに迫ってくる『He Aloha Waiau』。「思いを寄せる対象」(he aloha)と歌われるWaiauは、Hawaiʻi島Mauna Kea山頂近くにある湖の名前。水を蓄える森もない山頂にあって、「なぜここに?」という驚きとともにある「驚くべき水辺」(ka wai kamahaʻo)は、なによりその神秘的なたたずまいでもってネイティブのひとびとのイマジネーションをかきたて、豊かな物語を育んできました。そのあたりのことがうかがえるのが、最初のバースに登場するMauna Keaの別名、「ka mauna a Wākea」(Wākeaに由来する山)という表現。Wākeaといえば、ハワイの創世神話『Kumulipo』に登場し、大地であるPapaを雨でうるおす天のイメージでもって語られる神的存在。はじまりの人間がこのカップルから誕生したとするHāloa伝説でも知られますが*、このカップルは、ネイティブのひとびとの故郷、ハワイの島々を生み出した神々でもあります。しかも、列島のなかで最初に誕生したのがHawaiʻi島で、その中心(piko、へそ)にあたるのがMauna Keaなんだとか。そうすると、なんとMauna Kea(mauna a Wākea)はハワイのひとびととルーツを同じくする祖先(kupuna)ということになります。さらに、その世界のはじまりというか中心(piko)がMauna Keaであるなら、ハワイのネイティブのひとびとにとって、その地は、人間がそこからはじまりまたそこへ帰って行くような感覚とともにあるのではないか……なんてことも想像されます。少なくとも、自らのルーツがその場所にあるとする物語が、にわかに作られたものではないことだけは確かだと考えられますが、だとすると、そこにある湖が「he aloha」(alohaの対象)であり、「ka wai aloha」(愛される水)であるとされるときの「aloha」は、単なる個人の思いというよりも、世代を超えてネイティブひとびとが祈りを捧げてきたという、ハワイの歴史そのものを意味するのではないか……なんてことを思ったりもします……。
『He Aloha Waiau』(Kawaikapuokalani Hewett)について、zoomオンライン講座で解説しています。
アーカイブ(録画)による受講のご案内は、こちらをご覧ください。
http://sukimano.com/blog-entry-650.html 参考文献
1)Culliney JL, Koebele BP: A Native Hawaiian Garden-How To Grow And Care For Island Plants. Honolulu, University of Hawai‘i Press, 1999, pp107ー109
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