『ハワイ語のはなし』(短いフレーズで理解する文型)

ハワイ語のはなし204(2019年12月配信)
一口フレーズで学ぶハワイ語


 個々の単語の意味はわかっても、ことばを連ねて文章にするのは結構ハードルが高かったりするハワイ語。今回は、短くて覚えやすいハワイ語の一口フレーズで基本的な文法を確認し、最後に簡単なハワイ語作文にチャレンジしてみたいと思います。


●あいさつのことばは「である文」の典型

 まずは、「元気?」「調子はどう?」みたいな感じで、相手の様子をうかがうあいさつのことばをみてみたいと思います。

1)Pehea ‘oe?  元気?(あなたはいかがですか?)

2)Maika’i no* au.  元気です(私はよい状態です)。

 maika’i(よい)、au(私)

 1)は、英語の「how are you?」にあたるフレーズ。「Pehea」が「how」(どのように?)、「’oe」が「you」(あなた)なので、語順も英語と同じですね。ただし、2)の「元気です」(I’m fine)のほうは、英語とハワイ語の語順が逆になっています。なぜかといういと……そう、英語では疑問文を作るときに語順が変わることがありますが、ハワイ語では疑問文(~ですか?)も平叙文(~です)も、「述語+主語」の並びが基本になるからです。
 「述語+主語」という語順のルールは、いいかえると「文頭にあることばは述語」ということでもあります。単語にはりついた意味とは別に、ことばの機能(働き)自体は、文のどこに置かれているかで決まってくるともいえます。


●「'O」ではじまる「である文」

 次に、「'o」ではじまる文を挙げてみます。「'Oではじまる」ということは、「'o~」の部分が文頭にあるわけですから、文の述語であるということになります。たとえば……
3)’O Hawai’i ke*ia. これはハワイ島です。

ke*ia(これ、この)

4)’O Hawai’i (ia). (それこそが)ハワイ島なのです。


 「Ke*ia」は、「ke*ia pua」(この花)と後ろにくることばを限定する場合もありますが、3)のように単独で使われるときは、主語として「これは」と訳せばOK。一方、「Hawai’i」は「ハワイ島」のことですが、この場合は文頭にある、つまり述語なので、訳語としては「ハワイ島です」とするのが自然です。
 このタイプの「’o」について覚えておきたいのが、4)のように、後に主語にあたることばが続かない場合もあるということ。たとえば、「豊かな自然と、ひとびとの温かさにあふれて……」みたいな島の説明のあと、「(それが)ハワイ島なのですよ」と続く場合に、「それが」にあたる「ia
はいわなくてもわかるので、省略されることがあるんですね。一方、「ke*ia」が続いている3)の場合は、地図かなにかを指さしながら「これは~」と説明している、そんな感じでしょうか。
 そして、3)でも4)でもないのが、ハワイアンソングあたりによくある、いきなり「’o Hawai’i」ではじまるタイプ。この場合は、「ハワイ島です」と訳すと唐突な感じになるので、「ハワイ島といえば」みたいな仕方で、これから語ろうとするテーマが先に示されていると考えるとしっくりきます。


●「He」ではじまる「である文」

 もうひとつ、「文頭にくるときは述語」という仕方で覚えておきたい文型をご紹介します。不定冠詞「he」ではじまる、次のようなやりとりで用いられるフレーズです。

5)He aha ke*la*? あれはなんですか?

6)He pua kenikeni ke*la* あれはケニケニの花です。

 不定冠詞「he」は、定冠詞「ka/ke」同様、名詞を印すことば。なので、「he pua kenikeni」単独では、「ケニケニの花」という以上の意味はありませんが、6)のように文頭にあるときは、その文の述語として「ケニケニの花です」という意味合いをもっています。ただし、「he」に「~です」「~だ」という意味があるわけではなく、あくまでも「he」は名詞の印。対象をある程度限定する(輪郭を与える)定冠詞「ka/ke」との違いでいえば、その名で呼ばれる種類のもの(カテゴリー)をざっくりあらわすことばであるともいえます。


●「動作」や「状態」をあらわす動詞も文頭にくる

 ここまで、「である文」の述語が文頭にくることを確認してきましたが、このルールは「動作」や「状態」をあらわす述語の場合にも共通しています。例文を挙げてみると……

7)Noho au ma Honolu*lu*. 私はホノルルに住んでいます。

 noho(住む、ある場所を占める、座る)

8)Ma*lie ke kai o Honolu*lu*.  ホノルルの海はおだやかです。

 ma*lie(おだやかな)、ke kai(海)、o(~の)

 7)8)のいずれも、述語は前、主語は後ろにあるので、日本語訳としては前後を逆にすればいいことになります。「Ma Honolu*lu*」(ホノルルで)、「o Honolu*lu*.」(ホノルルの)あたりは、ぜひこのまま覚えてしまいましょう。


 最後に、今日、ご紹介してきた例文を使って、私自身のことを作文してみます。

・‘O Hiroe ko‘u inoa. 私の名前はHiroeです。

・Noho au ma Osaka. 私は大阪に住んでいます。

・He luna ho'oponopono au. 私は編集者です。

 ko‘u(私の)、inoa(名前)、luna ho'oponopono(編集者)

 「Luna」は「ボス」や「ディレクター」、「ho'oponopono」は「整える」「正しくする」という意味があり、日々、原稿に手を入れて整える、編集の仕事にぴったりなハワイ語だと思います。
 エンジニア(wiliki*、キーをまわすひと)、kauka(医師、doctorのハワイ語読み)、kahu keiki(保育士、子どもに仕えるひと)など、たいていの職業('oihana)はハワイ語で表現することができます。そして、プロとして活躍するひとは少ないかもですが、フラダンサーを意味するハワイ語は「mea hula」。これも自己紹介で使えそうですね。

 今年も残すところわずかとなりました。みなさま、来年も『ハワイ語のはなし』でお会いしましょう。A* hui hou!

※オキナ(声門閉鎖音)は「‘」、カハコー(長音記号)は伸ばす音の後ろに「*」をつけています。ハワイ語は、とりあえずローマ字読みすることが可能です。
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隙間のりりー

フラダンサー&ミュージシャンを応援するハワイ語講師。
メレの世界を深く知るためのハワイ語を、わかりやすく解説します。