虹が美しいのはわかるけど……それで?とつい口にしそうなくらい、あまりにもシンプルで、多くを語っていないように思える『Ke A*nuenue』。虹のかなたというと、まずは『Over the Rainbow』(映画「オズの魔法使い」の挿入歌)に歌われているような、こことは違うどこか別の世界へ誘われる印象がありますが、この歌に描かれているのは、あくまでも「この世界」だったりします。たとえば、こんな具合に……。
そう、虹といえば、「ka ua」(雨)。ひとしきり降ったあと、水滴をいっぱい含んだ空中に、太陽(ka la*)の光がたっぷり降り注いで輝くの虹なんですね。また、「大地はうるおされる」と訳した「Ho'o*la e ka honua」の「ho'o*la」に、「生命を与える」という意味があるあたりには、雨(ka ua)がもたらす水(ka wai)が、この大地をすみかとするあらゆる命の源であることが歌われているようにも感じられます。アスファルトに覆われた日常のなかで、完璧に忘れられている感覚かもしれませんが、これってハワイでも日本でも、というか、地球上のいたるところにある自然の営みを描写しているのでは……そんなことを思いながら、少し気が遠くなってきました。
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