「Poli'ahu」は、ハワイ島にある有名な山のひとつ、Maunakeaに住むと語られてきた雪の女神、「Aiwohikupua」は、彼女といっときいい仲になりながらも、別の女性を忘れられず去っていったとされる、カウアイ島の王子の名前です。 女神の名前とされる「poli」(胸)、「'ahu」(ケープ)ということばの連なりは、Maunakeaの山のいただきが、まるで白いケープをかけたように白く美しく輝いているさまを表しています。一方、そんな静けさに包まれた世界の反対側にあるKilauea火山には、火の女神Peleが住むとされてきました。この相反する自然のパワーが拮抗するさまを語る神話も語り継がれているのですが、そのなかでPoli'ahuは、その冷ますパワーでもって、迫りくるPeleの炎に勝利するとされ、その静かなたたずまいのうちに、実は力強いエネルギーを秘めたキャラクターとして登場します。そんなPoli'ahuも、こと恋愛にいたっては、運命に身をゆだねるほかはなかった、ということなんでしょうか……歌の大半は、去っていった恋人を思って涙するPoli'ahuの描写であることや、各バースごとに繰り返される「戻ってきて、大切なあなた(E ho'i mai e ku'u ipo)」というフレーズが切なさを倍増させてもいて、失われたものへの断ち切れない思いが切々とつづられている、そんな印象を受ける『Poli'ahu』。ですが、歌の最後の部分には、悲しみを乗り越えていくPoli'ahuの思いが力強く宣言されているように思われる歌詞が続きます……。
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